
南スラウェシ州経済産業概況
- 州経済産業概況
- (1)南スラウェ州はインドネシアの東西5,110kmの丁度中心に位置、あらゆる資源に恵まれた州。歴史と文化のあるマカッサル市に州都を置き、まさに、インドネシアの東西の中心的要路。経済的にも農林水産、鉱工業資源、畜産等非常に多種に亙る資源が豊富。インドネシアの将来の開発の観点からは戦略的に非常に重要な州である。
(2)州内マカッサル人、ブギス人は優秀な航海民族として国際性豊かな資質を持ち、南スラウェシ州は正に人的資源にも非常に恵まれている地域。今後の開発が重要で、ハビビ元大統領は係る観点より、人材育成、科学技術協力を日本との協力により推進した。この点は今後の人材活用のフォローが必要。2010年以降、南スラウェシ州経済発展に大きな貢献をしたのは鉱業およびプランテーション部門、所謂スラウェシ経済回廊への投資における重要な分野である。 - 州資源概況
- (1)南スラウェシ州は金、マンガン、砂鉄、花崗岩、鉛、ニッケル、石炭、石灰岩、大理石等生産。更に、石油、天然ガスも産出する。鉱山生産地区は478万ヘクタールに及び企業営業許可件数では第1位にランクされ、2番目は220万ヘクタールの石油・ガス用企業地域。鉱業はスラウェシ半島全体に存在、スラウェシ島中部と南東部で最も多く資源が埋蔵されている。例えば、ヴェ―ル鉱業会社が所有するニッケル鉱区は広範で、州政府も株式を所有し、鉱区を直接監督する権限を持っている。州は鉱山採掘許可を計1,256件発給、金、ニッケル、鉄、卑金属、石炭、安山岩、砂利、砂と山の土開発権等である。
(2)更に金鉱山の発表と発掘の可能性の高い地域は、ルウ、北ルウ、パロポ、東ルウ、タナトラジャ、パンケップ、バル、ボーン、ジェネポント、タカラ、ゴワ、マロス、セラヤール、ワジョ等の県・地域で、広範地区に広がっている。 オーストラリア出身の鉱業専門家エドワード・ブレナン氏に同行したダトゥ・アジス氏によれば、深さ約200メートルに亙り埋蔵量があり、金含有量鉱石地区は多くの保護林地域内で発見されており、環境保全との整合性が必要である。世界銀行は、多くのリスクがあるため、金鉱山に資金を提供することに躊躇。多くの外国人投資家が既に入り込み、 南スラウェシ州政府と県政府は地方指導者協議会に対して、人々が金採掘を求め、保護森林地帯に入らないようにするよう指示している。
(3)南スラウェシ州は、2016年以降、580万トンの総生産量から260万トンの米生産余剰を生み出し、インドネシアの多くの地域の米供給を行っている。南スラウェシ州はインドネシアの22の州に米を供給、約2,500ヘクタールの新しい水田を開拓、年620万トンの生産を目指している。過去5年間で、南スラウェシ州は24の県/市内に約3万〜4万ヶ所の新しい水田の開墾計画を実施。米の生産拠点はボーン、ソッペン、ワジョ、シドラップ、シンジャイ、ルウ、ピンラン、ブルクンバの各県に拡大されている。 - 州投資ポテンシャリティー
- (1)州内には未開発・未調査地域も多く、最近の調査発表によれば、これまで発掘されていなかった世界最大級の金鉱山が発見されている。 実際、マレーシア出身の世界地質学者、ダトゥ・アジス・ケモールは、マカッサルの南スラウェシ州知事事務所で、ラピム・ルームで南スラウェシ金鉱山の発見を発表。世界鉱業地図でも、南スラウェシ州は世界の金鉱脈の中心的位置にあると述べている。マロス県の場合、この地域の総面積は146,000ヘクタールで、そのうち10%が保護林、10.5%が生産林、6.5%が伐採林、20%が国立公園。鉱山の場合、許可が与えられた面積は約9,668ヘクタールで、この地域の53%は、5,170ヘクタールの生産林面積を占めている。鉱山はまた、保護林面積14%または約1,398ヘクタール、限定生産林は約504ヘクタールまたは約5%を占めている。
(2)農園プランテーションで主要な産品はカカオ、バニラ、サトウキビ、ゴム、紅茶、パーム、ハイブリッドココナッツ、コショウ、コーヒー等。ココアの産量は43,5トン/89,8ha。最大の面積と生産はボーン県(15,6トン/30,6ヘクタール)、ピンラン県(10,6トン/23ha)、続いてソッペン県(7トン/16ha)、この3つの県は南スラウェシ州の中心的カカオ生産県。総生産量の約76%を占めているが、平均生産性レベルは比較的低く、約0.7トン/ha。南スラウェシ州産ココアは人気があり、世界的に認められている。国内のカカオ生産の60%を占めており、インドネシアのココアは年間約72万トンの生産で世界第3位。南スラウェシ州のココアの品質を世界最高とも賞賛されている。2013年9月3日、スイスのチューリッヒの企業は南スラウェシ州にカカオ豆加工工場を建設・生産した。又、南スラウェシ州の高原野菜も有望である。
(3)農業は米 主食としての主力作物で、南スラウェシ州で広く普及。その中心地は、シドラップ、ボーン、ピンラン、ソッペン、ゴワノ等の各県。米に次いで2番目の食用作物、畜産用飼料して西海岸のトウモロコシの生産性の高いのもゴワ、ピンラン、ソッペン県、6トン/ha。次いでピーナッツ、湿った土地、乾燥した土地でも可能、農家に好まれ、ボネ、クンバ、マロス県は南スラウェシ州のピーナッツ生産拠点。平均生産性レベルは2トン/ ha。中でももっと高い生産性地域はシドラップ、パンケップ、ブルクンバ県、平均2.98トン/haである。
(4)漁業分野は、最近のマカッサルの輸出分野。輸出額は2億5,600万ドル、地域経済に大きな役割を果たしている。輸出が大幅に増加していることは、マカッサル海域の漁獲量が増加し、多くはガルーダの貨物直行便で関空に輸送されている。その中心はマグロ(キハダ、メパチ)、カジキマグロ、エビ、海藻など。南スラウェシ州は海洋漁業と内陸漁業があり、海洋漁業では新鮮マグロ、ハタ、鯛。
(5)林業・木材の中心はボーン、シドラップ、ピラン、マロス、バンルーの各県。加工木材の生産品は、海外に輸出・島外に出荷されている。み南スラウェシ州総森林面積は1,800万ヘクタール、約38%または約700万ヘクタールが経済利用、26%または470万ヘクタールが保護林、20%または370万ヘクタールが限定生産林、20%または370万ヘクタールが保全生産林、残りは自然保護と保護地域の10%。区分割合は、環境保護規定に沿った地域内と森林地域外の両方の投資のための配分考慮。環境保護規定に従って、森林地域が如何にして、如何なる種類の利用がなされるか調査・トレースし、生態学的被害と農民・住民排除が如何なる状況か、環境危機をモ二トリングしている。
(6) 畜産豊富な天然資源に続く可能性の高い産業は畜産。南スラウェシ州は1,221,600頭の新規国家家畜調達計画に於いて、肉牛開発を推進、特にバリ牛の新規普及倉庫というニックネームも付いた。2,878,163頭中、東ジャワに次ぐ第2位にランクされたが、最近の5年間で、783,609頭から722,433頭に減少、早急の開発が求められている。
(7)トラジャコーヒーは南スラウェシ州の高地で栽培されている。実際、トラジャコーヒーは世界のトップ10に入っており、田園風景の甘さと落ち着いたフルーツティ調が、スマトラコーヒーに似た辛味のあるスパイシーな品質で深い風味を作り出している。トラジャコーヒーは湿式粉砕法で加工され、コーヒー生豆を含まない殻が作られる。酸味は低くコクがありながら刺激もあり、スマトラコーヒーよりも味はやや酸性、典型的なジャワのアラビカコーヒーよりも人気がある。トラジャコーヒー名は外国で最も有名な商品。南スラウェシ州トラジャ高地の州の名産である。