
リアウ州経済産業概況
- 州経済産業概況
- (1)リアウ州経済産業の特色は鉱工業、農林食品、金融・建設輸送等サービス部門を中心として成り立ち、今後の投資機会は有望で、天然資源分野を除いてシンガポール、マレイシア等のアセアン諸国からの投資が目立つ。州内経済を主導しているのは石油・天然ガスを中心とする鉱工業である。次に広い耕地に支えられた農林・プランテーション分野、そして貿易、加工業・企業サービス、観光。ホテル、建設、運輸・通信、金融、レストラン、レンタル部門。地域経済の原動力としてのリアウ州政府は、今後、農業部門、加工産業部門(石油・ガスを含む)、ホテル、レストラン等の開発に重点を置いている。 基本敵には、経済部門間の格差を引き起こさない様、望ましい経済成長を達成するべく努力している。ゴム、パーム油、タバコ産業、食用作物、家畜、パルプ、製紙等近隣諸国よりの投資により経済発展の可能性は大きい。
(2)カルテックス(現シェブロン)石油会社は戦後巨大な利益を得ており、インドネシア共和国、地方にも同様の利益を提供した。州内ドマイ市のカルテックス企業内のインフラは巨大施設で、学校、病院、あらゆる公共施設を要し、社員家族住民は数万人に達する。カルテックス社は、州内高校卒の優秀な学生を長い期間日本の国立佐賀大学の学部留学生(計4年間)として留学させていた。 - 州資源概況
- (1)リアウ州はインドネシアで最も豊かな州の一つで、その中心的天然資源は石油、天然ガスである。リアウ州経済鉱工業分野で石油・ガス鉱業部門は、鉱業エネルギー分野のみで州GDPの主要な部分を占めており、リアウ州をインドネシアで最も豊かな州にしている。シェブロン(旧カルテックス)石油が存在するドマイ市の様に、巨大鉱工業プロジェクトがあれば、食品・農産物等社会消費は相当量に達するいくつかの鉱山もある。鉱工業産出物として石油、金、石炭、天然ガス、ボーキサイト、花崗岩、石英砂、錫、海砂等があり、州全体のGDPの42%を占めている。石油とガスに関し、 2015年リアウ州知事代行はリアウ州にはまだ、全体の33.57%に達する埋蔵量があると発表。他方、石油の埋蔵量は、全体埋蔵量の51.5%と言われている。天然ガスは23.7%。ロガス地方の金は、宝飾品の主要原料、ティマ、ベンキナン地方の錫はアルミニウム箔を作るための原料として重要である。
(2)リアウ州は地下の石油資源と地上のヤシ油(パーム)資源の間にあると言われている程、エネルギー資源が豊富。特に、石油と天然ガスは州歳入のプリマドンナ(主役)と言われる。パーム油(CPO)の生産とその輸出は、州経済に大きく貢献。リアウ州のCPO(パーム粗油)輸出貢献度は州全体の40%、他のパーム油センターと比較して格段の相違がある。また、350万ヘクタール以上に達するパーム・プランテーションの面積は毎年増大しているが、熱帯雨林の伐採によるものである。このパーム産業は上流から下流への事業活動は、大規模国営企業と大規模民間企業が並立し、大規模経営プランテーション経営を行っており、国際アグロビジネス傘下の企業が多く、近隣のシンガポール、マレイシア企業もあるが、背景は国際アグロ・シンジケートの存在がある。
(3)農業アグロ分野は石油・ガス分野に次ぐ重要産業。パーム、ゴム等のアグロインダストリー、食品・飲料・タバコ産業部門等が中心である。パーム、ゴム以外に食糧産品、飲料、タバコ門、野菜、家畜、パルプ、製紙等があり、又、広大な耕作地での具体的な食糧生産品として、米、トウモロコシ、大豆、ピーナッツ、インゲン、キャッサバ、サツマイ、モサゴ、ココア、コーヒー等がある。 - 州投資ポテンシャリティー
- (1)流通・貿易、加工業・企業サービス、観光、ホテル、レストラン、建設、運輸・通信、金融、レンタル・企業サービス等の第三次産業は、リアウ州経済の今後の発展のカギを握っており、貿易、建築等開発に伴い本分野の発展する可能性は高く、アセアン経済の成長の小三角地帯(シンガポール、リヤウ諸島州、ジョホール)に隣接し、この分野の成長は近隣諸国の投資と共に今後の拡大成長が期待されている。
(2)パームは大量の地下水を吸収、森林環境破壊、希少動物の激減等の問題も提起している。人為的森林火災、又、老朽化したパームの定期的植え替え焼き畑方式は煙害をもたらし国際問題にも発展している(肺炎、呼吸疾患)。農民、労働者、地域社会の福祉等も考慮した、パーム産業の持続可能性と環境の持続可能性を維持することが最大の開発課題。森林伐採後は、名古屋大学の江原教授はサゴヤシ植林を推奨。サゴのデンプン利用、木材利用も可能、伐採して燃やす必要がない、デンプンはうどんの材料等さごヤシ植林による環境保全に協力している。パームは木材に利用できず、伐採せずに焼いている。パーム農園跡地は乾燥泥炭地として再利用が難しく、日本の環境技術投資が求められている。
(3)又、パーム油精製廃棄物には環境破壊の要因である有害物質SBE(血管塞栓、敗血症性肺塞栓、細菌性動脈瘤、頭蓋内出血、ジェーンウェイ班、結膜出血等の原因物質)も含まれ、これらを除去するという政府決定(2021年政府規則第11号)がある。環境団体は森林破壊、河川汚染等については調査しているかが、汚職・贈賄に弱い政府の監視・監督体制は脆弱と言われている。2019年から開始された環境汚染調査により、シアック川や他の川等リアウ州の主要河川を調査。それによれば、クアンシン県の河川パーム油廃棄物の汚染が指摘され、ニュースのメイントピックとしても登場している。クアンシン県の川は、かつて人々が住み、行楽・レクリエーションとしてし、入浴する場所であったが、パーム油廃棄物で汚染されており、現在は使用できない。政府は現在、2021政府規則第22号にて規制を更に強化しているが、効果は少なく、本分野でも日本の環境技術投資が求められている。
(4)パーム油廃棄物は、実際には潜在的かつ利益価値を有し、日本政府は係る技術開発を各州各大学にて共同研究等開発支援しているが、現実的には価格面で採算が取れていない。カンパール県ではこれをバイオガス発電所使用にて経済性を証明している。発電量は700キロワット(KW)で、パーム油工場からの液体廃棄物からの原料として利用。パーム油は適切に管理され、環境的に持続可能性のある植物性油として開発発展の可能性は非常に大きく、オレオケミカルとして食用、化粧品、燃料等計200種類の産業が成り立つ。パーム油は化石燃料に代わる代替エネルギー源として廃棄物を変換し、再利用することはSDGsの観点よりも非常に重要で、かかる技術等日本企業の活路はインドネシアには多くある。
(5)リアウ州のその他の産業として水産業、畜産業が挙げられる。釣りも行楽としては人気がある。海と幾つかの川に囲まれ、水産物は非常に豊富。多くは海洋漁獲、残りは川や水産養殖で、需要が高いので成長産業である。その他、家畜分野としてはヤギ、牛肉、子羊、豚肉、鶏肉など。そして、卵、肉、牛乳製品等高い需要がある(シンガポール、マレイシア等へ輸出)。