州経済産業概況

ジャンビ州経済産業概況
- 州経済産業概況
- (1)ジャンビ州の特産品としてビンロウがある。ジャンビという名前はこの地域にはビンロウの実を意味するジャンベが自生している由来からである。その実はベテルナッツとして輸出され、高い市場需要に加えて、原材料の入手も簡単である。インドネシアからビンロウの実の輸出国は、パキスタン、タイ、インド、シンガポール、ミャンマー、ネパール、ベトナム、スリランカ、バングラデシュ、マレイシア等。具体的に取引されるのはビンロウの実の種子、主に乾燥されたもので、無傷(丸い)または分割された状態で、ハーブとしても、赤色染料の原料としても使用される。商業省貿易総局によると、ベテルナッツ2016年のインドネシアの生産は219,127トン、2億7,778万ドル。インドネシアは、ビンロウナッツ製品で世界29位。このビンロウは中国名檳榔(ビンラン)は、太平洋・アジア及び東アフリカで見られ、ヤシ科の植物、種子は嗜好品として、噛みタバコとして使われ、マレー語ではペナンと呼び、ペナン島の名の由来ともなった植物と言われる。また、パーム・プランテーション会社と鉱業会社等もある。
(2)州内パーム・プランテーションの面積は400,168ヘクタール、ゴムは595,473ヘクタール。パーム油の生産額は年間898.24千トン、他のプランテーション産品、ゴムの年間総生産量は240.146千トン、バージンココナッツは年間119.34千トン、カシアベラ(セイロン・シナモン)は年間69.65千トン、茶プランテーションの生産は年間5.6千トン。熱帯ジャングルは急速に減少し始め、虎の数も減少している。ジャンビ州西部で生産される農業産品は、クリンチ米(クリンチ山麗)、ジャガイモ、キャベツ、トマト、大豆等がある。 - 州資源概況
- (1)ジャンビ州は天然資源に富んだ地域。州内の土地の約60%がプランテーションと林業地域、主要生産物パームとゴム。その他農産物等は茶、米、ジャガイモ、キャベツ、トマト、大豆等。鉱物資源としては石油、天然ガス、石炭、白鉛等を産出、しかし、開発投資は不十分で鉱業の発展の可能性は大きいが、自然保護の観点との両立が最大の課題である。
(2)ジャンビ州のジャンビ州の石油埋蔵量は1,270億立方メートル、天然ガスは3兆5,724億4,000万立方メートル。ケナリ・アサム地区、ジャンビ市周辺地区、ムアロ・ジャンビ県のみでも石油埋蔵量は4億899万バレル。一方、バタンガ県、州ムアラブリアン地区の天然ガス埋蔵量は2兆1,857億3,000万立方メートル。又、ジャンビ県の石油埋蔵量は12億7,096万立方メートル。他地域の石油埋蔵区域としてタンジュン・ジャブン・ティムール県等がある。天然ガス埋蔵量の大半は、バタンハリ県のムアラブリアン地区にあり、この地区の埋蔵量は2兆1,857億3,000万m3。ジャンビ州の石炭埋蔵量は1,800万トン、発電用としての使用に適した中カロリーグレードの石炭がある。 - 州投資ポテンシャリティー
- (1)ジャンビ州の観光施設とインフラは現在、可なり整備されている。多くの観光スポットにアクセスが可能。飛行機と車でジャンビ州に行く手段があり、ジャンビ市の他、ブンゴ、クリンチに空港があり、多くの観光地に繋がっている。そのうちの1つは、ジャンビ州の主要観光地であるクリンチ県、天からの土地という意味で知られている。クリンチの自然は非常に美しく、山々、湖、茶畑など多岐にわたる。その他の観光スポットとしては、ゲンタラ・アラジー・タワーと歩道橋、またはジェンタラ・アラジー橋として知られる2つの観光地がある。歩道橋は、曲がりくねった形をした歩行者のための橋で、バタンガリ川に架かっている。橋の端にはゲンタラ・アラシー・タワーがあり、これはジャンビ州のイスラム教の発展の歴史に関する歴史博物館。博物館に加えて、ここにも料理の伝統郷土料理があり、バタンガリ川を下る多くのボートも用意されている。クリンチにて産するシナモン(kayu manis )は世界最高の品質、昔は金と同等の価値、インド、中東に輸出されていた。
(2)州内には4つのユニークな国立公園があり、一つは山岳地帯に位置する1,368,000ヘクタールの面積を持つケリンチ・セブラット国立公園。二番目はブキットドゥアトゥエルトウェル国立公園、リンバ人の先住民がいる。特別区として60,500ヘクタールの面積の広さを有する。三番目はブキットティガプル国立公園、ここにも多くのリンバ人の先住民が住み、144,223ヘクタールの低地地域にある。四番目は湿地帯の中にあるベルバック国立公園である。
(3)ジャンビ州は大きな開発の可能性を秘めており、現在、急速に開発が進められている。他方、環境的・社会的持続可能性を無視した天然資源開発の慣行が発生、社会に大きな影響を与えている。森林火災や土地火災、洪水、天然資源獲得競争等は、持続可能な社会的および環境的アプローチを優先していない。
(4)天然資源管理に関し、2021年ジャンビ州環境保全協会は環境指導ブック・ガイドを発行、過去数年間に発生した開発上の問題、環境問題、違法採掘の問題等を取り上げた。天然資源採掘等に基づく企業許可(パーム、鉱山業)の拡大義務要件、住民福祉増進、土地紛争防止対策が課せられている。
(5)開発に関する要注意点としては、環境犯罪に対する法執行はまだ不十分で、環境破壊、汚染は増加、開発許可を有する企業の自覚と責任感は希薄、更に、政府は天然資源管理慣行を十分には支援していない等の点が挙げられる。天然資源管理のガバナンス欠如は、地域社会と企業間の土地紛争の増加原因。2021年9月現在、インドネシア環境省は、ジャンビ州で少なくとも29件の土地紛争を受理。テボ地域、バタンガリ地域、ムアロ・ジャンビ地域、タンジュン・ジャブン・バラト県で発生。ジャンビの土地紛争のほとんどは、地域住民と土地使用権許可証の所有者としての会社との紛争である。